鯖を読んでる転校生=社長!?
仕方なくまた部屋に入った。

「早かったな」

吉一光河はスーツの上着を着ながらニヤニヤしてあたしを見ていた。

この人あたしが部屋の前で戸惑ってたこと知ってたでしょ?絶対!

わかってて“早かったな”なんて・・・性格悪っ!!

あたしは吉一光河を睨んでソファーに座った。

ソファーでぼーっとする。

相変わらずやることがない。

今日は日曜日。

年は違うものの高校一年生なのは同じ。

だけど吉一光河には社長っていう肩書きと仕事がある。

「今日は俺、仕事だから。宿題やっとけよ」

そう言ってスーツに着替えた吉一光河はあたしに近づいてきてまるで子どもを可愛がるかのようにあたしの頭を撫でた。

子ども扱いとか最低っ!!

あたしはムスッと黙ったまま何も言わなかった。


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