夢花火




日和は、私の方に走って来た。



「千春。桝屋さんは?」


「今は取り調べ中だ」


「そっか…」




何となく、気まずい空気が流れた。


それを先に破ったのは、私だった。



「日和、ごめん…」


「えっ…?」


「巻き込みたくないのに、巻き込んでしまった。本当にごめん」




そう言うと、日和は微笑んだ。



「ううん。私の方こそ、この前ムキになりすぎた。千春は、私の事考えて、言ってくれたのに…。ごめんね」



「うん…」



「でも、一度だけ、桝屋さんに会わせて?」




少し、考えたけど…。



一度だけなら…。






「ああ。いいよ」



「ありがとう。千春」




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