夢花火





そうしているうちに、日和が部屋から出てきた。


「あ、日和。どうだったか?」


「え?大丈夫だよ」


「なら、良かった」


「すみません、土方さん…。時間かかってしまって…」



日和がそう言うと、土方は笑う。



「気にしなくていい。な?松林」



いきなり話をふられる。



「ん?あぁ、大丈夫だ」


「そう…?」


「水野。お前はもう、帰ってもいいぞ。巻き込んで、本当にすまなかった」


「いえ。…それじゃあ、失礼します」



日和は微笑みながらそう言い、屯所から出ていった。



「松林。もう少しで時間だ。準備しろ」


「…分かった」




私と土方も別れ、それぞれ自室へと戻っていった。



浅葱色の羽織を着て、刀を持つ。




私はこれから、人を斬るーー。




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