夢花火
そして私達は、また、ゆっくりと歩きながら屯所へと戻った。
二人で中に入ると、沖田が駆け寄ってくる。
「土方さん、遅かったですね。…そちらの方は?」
そう言い、沖田は私の方を見る。
…私はまだ、女物の着物のままだった。
「お前、気付かねぇのか」
土方が聞いても、沖田はうーん…と、首を傾げる。
「分かんないですよ。誰です?」
沖田がそう言うから、私は口を開いた。
「酷いな沖田。本当に分からないか?」
すると沖田は、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
そして、私をじっと見つめた。
「えっ……。え…?千春さん…?」