夢花火
「沖田、風邪か?」
「はい…。最近、調子悪いな」
「一応、医者に行った方が良いんじゃないか?」
「大丈夫ですよ、このくらい。全く…。心配性なんだから、千春さんも、日和さんも…」
日和と沖田は、池田屋事件が終わってからもよく会っているようだった。
日和は…
この事を、知っているのだろうか。
「無理するなよ」
沖田は少し笑う。
「ありがとうございます。でも、こんなものすぐに治りますよ。ほら」
沖田は、安心させるためか、軽く腕を振った。
「でも…」
「あ、稽古してきますね。それではまた後で、千春さん」
沖田は、私の言葉を遮るように言うと、竹刀を片手に走って行った。