夢花火




山南の死を見届け、廊下を歩く。



新撰組から仲間が一人、
いなくなってしまった。



「…見事な最期でしたね」



その時、私の前に現れたのは、伊東だった。



「嫌いだからといって、何故切腹させたのでしょうか」



「……」



「土方さんは、そこまでお辛くはないのでしょうね」




いつもの微笑んだ顔で、伊東は淡々と言葉を並べていく。




「…違う」




気付けば、そう口にしていた。




< 181 / 345 >

この作品をシェア

pagetop