夢花火




じっと息を潜める。


ザッザッと、人が来る気配がする。


沖田は、「シーッ」と人差し指を口に当てた。


ドキドキと心臓が鳴る。


そして、すぐ近くで足音が止まった。




「…そこにいるのは分かってるんだ。総司、千春。出て来い」




二人揃って土方の前に立つ。



数秒、怖い顔で睨まれるが、土方は仕方なさそうにため息をついた。




「…遊んでねえで、早く続きをやれ」




やっと終わった…。



ふうっと息をつき、仕事に戻ろうとする。



…あ。



永倉達は、まだ逃げているのかな。





「永倉と原田と藤堂は、もう仕事に戻ったからな」





私の心を読んだように、土方が言った。





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