夢花火
いつもの日々
「ヤァァァーー!!」
学校の道場に、今日も気合いの入った声が響く。
「一本!勝者、松林!」
後ろに下がり、礼をする。
「ありがとうございました!」
自分の席に行って、面を外し、タオルで汗をふく。
こうやって、毎日剣道をやるのが大好きなんだ。
「松林先輩、すごいです!さすがです!」
「去年の全国大会で優勝したんですよね」
「うん、でもまだ全然だよ。ありがとう」
そんな声が、よく耳に入ってくる。
…いつものことだ。聞き慣れすぎた。
「じゃあ私は、これで」
時計を見ると、もうとっくに部活が終わる時間だったから、帰る支度をすることにした。
そんな私を見たほかの部員も、わたわたと準備を始める。
「…なんか松林さんって、そっけないよね」
「だよねー…。楽しいのかな」
これも、いつものこと。
でも、私は私。
剣道が楽しいのは当たり前。
そう自分自身が思っているのだから、他人に何を言われても気にしない。