夢花火





本当に何もないのかと思い、台所の中を探し回った。




「もう、これでいいや」




ため息をつきながら私が手に取ったのは、唯一あった黄色い沢庵。




他には何もないから、入れるのなんてこれしかない。





「よし」




もう一度気合を入れ直し、沢庵を詰めていく。




その時、扉が開いて沖田が入ってきた。





「あれ、千春さん?」



「…起きるの早いな」




沖田は少し咳き込みながら、私の方に近付いてきた。




「おにぎり作ってるんですか?」



「あぁ」





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