夢花火





「…藤堂には、手を出すな」



その言葉に、永倉と原田はしっかりと頷き、隊士達を引き連れて駆け出した。



すると、入れ違うようにして、沖田が入ってくる。




「平助が、逃げるわけないじゃないですか…」




そう言いながら、沖田は座る。





「あいつだって、もう子供じゃないんだ…」




そこまで言うと、沖田は口元を手で押さえた。




「…けほっ、こほっ…」



「大丈夫か…?」




私は沖田に近付き、背中をさする。





「けほっ…。大丈夫です」



「…無理をするな」




沖田は呼吸を整えて、




「ありがとうございます、千春さん…」




弱々しい声で、そう言った。




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