夢花火

五月十一日





――

――――


それから、数日後。


廊下を歩いていると、何やら話し声が聞こえた。


「…お前に頼みがある」

これは、土方…?


「はい。何ですか、土方さん」


もう一人は、土方の小姓の市村鉄之助。


「聞いてくれるか」

「はい」

「辛い仕事だぞ」

「…既に、覚悟は出来ています」


少しだけ、土方が間を置いた。


「江戸に行け」

「え…?」




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