夢花火




「ちは…る…」

土方の声が聞こえる。

助けられなかったのか…?



土方…


土方…!!



声が、出せなかった。

眩しい光の中で、必死に目を凝らす。

馬から崩れ落ち、地面に倒れている土方の姿がわずかに見えた。


「…土方…!」


ようやく声を出す事が出来た。


「千春…すまん…」

土方はまだ何か言っていたけど、もう何も聞こえなくて、何も見えなかった。

目の前が完全に、真っ白に塗りつぶされる。




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