夢花火




「泣け。泣けば、すっきりする」


でも、土方のその言葉で、一気に涙が出てきた。


「……っ」


本当は怖かった。

刀を向けられたのも。
刀を抜くことも。
敵の目も。

あの時、全部が怖かった。


「よく、頑張ったな」

そう言う土方に、微笑み返す。


「本当に…ありがとう…」

私に居場所を与えてくれて…。

「…ああ」


……静かな夜だった。

真っ暗な夜の中、私は泣いた。

側にいる土方の温もりに、安心しながら…。



この時、土方に会えて良かったって…

心から思ったんだ。




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