夢花火




それから間もなく、芹沢と新見が来た。


芹沢は、手に鉄扇を持っている。

皆が頭を下げる中、私も頭を下げた。

その時、突然肩を叩かれる。


顔を上げると、目の前に芹沢が立っていた。


「お前、新しい隊士か?」

「…はい」


そう言うと、芹沢は愉快そうに笑った。


「女隊士か。近藤も、妙な奴を入れたもんだ。名を何という?」

「松林千春です」

「…壬生浪士組局長、芹沢鴨。よろしくな、松林」


そう言うと、芹沢は堂々とした足取りでその場を去っていった。




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