夢花火




「でも私は、こっちの時代の方が好きだな」


そう言うと、土方はふっと笑った。


「そうか。」


「私が初めて、土方に会った時のこと覚えているか?」


「ああ。妙な服装をしていたな。あれは、未来の服なのか?」


「そう。今と未来じゃ、全然違う」



そう言うと、土方は突然立ち上がり、押し入れの方に行った。

何かを取り出すと、それを私に渡してきた。



「俺らの仲間っていう、証だ」



それは、新撰組の羽織だった。

だんだら模様がついた、浅葱色の羽織。


「ありがとう。土方」

「…ああ」



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