堀江くんの遠回りな恋
夜の海辺に男女二人で歩いていると


人は間違いなく恋人達の甘い会瀬だと思うだろう


けれどーーー


オレ達の状況は少し違う


いや、かなり違う


オレはこのまま堤防の先まで連れて行かれて真っ暗な夜の海に突き落とされるんじゃないかってマジでビビってた


堤防の先まで来たらずっと黙ってた今里が口を漸く、開いた


「昼間」


すこぶる、機嫌が悪いらしい


鈍感なオレですらそれくらいは分かった


「昼間って……」


「とぼけないでよ、どういうつもりよ。説明、出来んの?」


こんなにも辺りは暗いというのに今里から出ているダークなオーラがオレには、よく見える




< 86 / 157 >

この作品をシェア

pagetop