二人一つ
「僕は決めた。最期まで君を愛していく」
彼の瞳は決意に満ちていた。
私は驚いていた。
彼は他の二つの選択肢から、一番不可能だと思っていた選択肢を選んだのだ。
私はもう、もう一つの選択肢しか選べないと思っていたのに。
私が自ら死ぬという選択肢しか、無いと思っていたのに。
彼は、一番優しく、一番辛く、苦しい選択をしようと言うのだ。
「たった……たった3年よ、一緒にいられるのは……それくらいだよ?」
私の声は震えている。
私の眼は潤んでいる。
「あぁ、わかってる。それでも良いんだ……僕はそれでも良い」
彼の声が優しく響いた。
そして、彼は私をそっと抱き締めた。
「私は……」
涙が頬を伝っていた。
止めることはもう出来ない。
私は泣いている。
彼は、私を愛していくと言う。
でも、それでも私は。
「私は……貴方に、生きて欲しいっ」
私は暖かい彼の体を、突き飛ばしてた。
貴方の温もりは、これっきりで良い。
叶っても悲しい結末は、嫌だよ。