二人一つ
ごめん。やっぱりやめた。

あの日から10年後くらいの話


あの日、私は彼と共に生きていくと決めた。

それからもう、10年も経った。

3年しか無いと思っていたのに、私はもうこんなに生きてしまっている。

まったく、貴方は嘘つきだったね。

私はすっかり騙されましたよ。

ずっと最期まで一緒に生きるって言ったくせに、最期の日にやっぱりやめたってなんなのよ。

本当にバカ。

最悪。

でも、それでも私は、貴方を愛してしまっている。

いまも、これからもきっと。

あ、そうだ。

遺書とかさ、もっとちゃんと書いて欲しかったなぁ。

『ごめん。やっぱりやめた。君は生きてくれ。勇【ゆう】と一緒に。ずっと幸せに』

ってそれだけはダメでしょ。

まったく、もっといつ見ても泣けるようなのにして欲しかったなぁ。

ま、貴方にしては合格点だけどね。

貴方が勇の為に、私を生かしてくれたのは、嬉しくて、悲しくて、死にたいと思った。

だけで、頑張って生きてるよ。

貴方から貰った命だからね。

ずっと生きて、幸せになるよ。

あぁ、そろそろ勇が帰ってくるかなぁ。

もう、お母さんやるのも大変だよ。

じゃ、貴方はいつまでも天国みたいなところで反省しててね。

私を残していったことを。

許さないからね。





……愛してるから。






誰よりも。





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