今日も雨が降りました。
「ほれ、また喧嘩して…。いい加減仲良くやったらどうだい」
祖母がお茶を持ってこちらに来ました。
「雨子のせいでまた今日も雨かよ。最悪」
兄はよくこうして私のせいにしますが、ぽつぽつ降っている雨は私とは全く無関係なのです。
「お兄ちゃんまた雨子って…!」
「雨子は雨子だろ。なぁ、ばあちゃん」
「雨子は雪宏と霧子さんが親しみを込めてつけたあだ名じゃないか。…それとも、雨は嫌いかい?」
「……嫌い」
雨は人から嫌われる。
だから、私も嫌いでした。
―――雨も、雨子も。
「雨子、おはよ~」
「おはよ、香奈ちゃん」
「あめ~!おっはぁ♪」
「おはよう。元気だね、夏実は」
「今日も雨だね、雨子!」
「優ちゃんー…!それは梅雨だからでしょ?」
雨の中、憂鬱な気持ちを抱えたまま、今日も学校に来ました。
教室には大好きな友達がいました。
香奈ちゃんはとてもオシャレで、恋愛経験豊富な感じ。
一番大人っぽいんじゃないかなと思います。
そして夏実はお調子者のお笑い担当。
ノリがよくて気さくで、顔の広さは一番です。
優ちゃんは夏実の行き過ぎた悪のりを叱ったりする優しいお姉さんポジション。
たまにからかったりお笑いのツッコミ担当に変身したりもする、キャラが謎な人です。
みんなとてもいい人で、美意識も高い軍団なのですが、彼氏がいない軍団で、恋バナというものに全く縁がないのでした。
その日のお昼休みのことです。
夏実が口を開きました。