【珍獣使い】の憂鬱
母親は…『俺』を愛してはくれませんでした。

彼女はね、どうしても、どうしても、消えた天使の死を受け入れられなかったんですよ。


あの子は死んでない。
あの子はここにいる。


そうやって俺を天使の代わりにしました。


俺は、小学校にあがるまで、女の子として育てられました。

だから名前も『夏』なんです。女の子っぽいでしょ。

彼女は俺を『なっちゃん』と呼びました。

生前の天使の名前は『夏月(ナツキ)』で、彼女は天使のことを『なっちゃん』と呼んでいたらしいですから。
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