願うは嘘~キミは僕を忘れた~
ユリアの、今の恋人。
名前はケビン。
向こうの大学で知り合ったらしい。
ケビンと出会ったのは、記憶喪失の後。
俺を忘れてから。
「ケイトは本当に優しいね。」
「そんなこと、ないよ。」
声が震えるのを必死におさえた。
「じゃぁ、俺行くよ。」
「コレ。ありがとう。」
「ううん。」
醤油を手にニコニコ笑うユリア。
その笑顔は俺のものになるはずだったのに。
自分の部屋のドアを閉めた瞬間、膝から崩れ落ちた。