グッバイ、ネイビー
7月26日(土)晴れ
がたん、がたん、と。
電車は不規則に揺れながら目的地を目指す。窓から急速に流れていく景色を見つめた。
「(……暑そう)」
太陽が窓越しにもその威力を発揮していて目を細めた。
と。そこに。
{間もなく終点です。}
機械的なアナウンスが聞こえて、窓の外から視線を移す。
がやがやと周りの人たちが動き出したのを視界の端でとらえた。
私も足元に置いていた大仰なバッグの中へ出していたせいか表面に水滴がついているペットボトルをしまった。
アナウンス通り、本当に間もなくして電車は速度をおとし停車する。
出口から流れ出る人に紛れ私も電車からおりた。
「あっつ………、」
人工的に冷やされた車内とはうってかわって暑いそこに舌打ち。
輝く太陽は、そんな私たちを嘲笑うかのように光をおとす。
それでも私の胸は高鳴った。
¨あの人たち¨に会わなくていい夏休みが始まるのだ。
よし、と。気合いを入れるように言葉を吐き出し、改札から出た。
と。
「ッ!」
いきなり背後から肩を軽く叩かれ肩が思い切り飛び上がった。
ゆっくりと振り向けば、知らない男の人がゆるく笑みを浮かべてそこにたっていた。