グッバイ、ネイビー




『栗栖小梅ちゃん、デショ?』

「……だ、れ?」



疑問形のくせに言い方はやけに断定的だ。

口元の笑み。確かに笑っているはずなのに目が冷めている。



無表情に口元の笑みを取って貼り付けたようでそこだけ違和感。



怖い、と一歩後ずさったところで男の人がクスリ、と微笑をこぼす。



『そんなに警戒しないでよ』

「…、……」

『無視?いい度胸してるね』




ひいい!この人、やっぱり危ない人じゃないかな。だってなんか怖いし。てゆかこの人よく見たらめちゃくちゃ整ってない?



うわ、二重幅広い!うらやましい。なんて思わずガン見していれば男の人はス、と私から視線を外す。



『ちょ、あんま見ないで』

「…え、あ!ごめんなさい!」



即座に謝れば困ったように男の人が笑みを浮かべた。


今度は不思議と恐怖は生まれなかった。

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