君にすべてを捧げよう
「え?」


驚いたような短い声が、耳元でした。


「痛い? え、めぐる、もしかし、て……」


ナカで、指が動く。その動きに再び同じ呟きを漏らした。


「初めて、と、か……?」


ゆっくりと指を引き抜いた智が訊く。
顔を覗き込まれれば、『ドン引き』という言葉が思い出されて、ぶんぶんと首を横に振った。


「ち、ちが……っ。大昔にい、一回だけっていうか!」

「一回だけ……?」


処女ではない。その方が安心するだろうと思って頷いた。
智はもしかして、と続けた。


「それって……ああ、いや、何でもない」


言いかけて口を噤む。

少しの間を置いて、智はいつもの笑みを浮かべた。


「ごめん、痛くしないように気を付ける」

「あ、あの……ドン引き、でしょうか……?」

「なんで? そんなわけないでしょ」


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