君にすべてを捧げよう
そんな引きこもり生活の折、我が家に小包が届いた。
送り主の名を見ると、『ひつまぶしれんた』で作品を掲載している出版社の、編集部と書かれていた。


「蓮。△△社の編集部さんから荷物だよー」

「ん? なんだ、デカいな」

「そうだね。だけど、そんなに重たくないよ」


一抱えありそうな大きな段ボールだったが、抱えてみると存外軽い。


「資料、か? 頼んでないんだけどな」


リビングで蓮が開封に取り掛かるのを横目で見ながら、キッチンに向かった。
二人分のコーヒーを淹れる支度をしながら、ため息を一つついた。

『ひつまぶしれんた』関連の物ならば、絶対にろくでもないモノに決まっている。
どうせ、如何わしい道具とかDVDとかだ。


「あーもう。また有害ゴミが増える……」

「おい、めぐる。あれ、編集部からの結婚祝いだったぞ」


ひょいと入ってきた蓮が言って、驚いた。


「え、お祝い? だって、担当さんからも、部長さんからももう頂いたよ?」

「編集部全体からだってさ。これが入ってた」


蓮がひらひらと掲げたのは、流麗な文字の記されている祝い熨斗であった。


「えー、嬉しい! ねえねえ、何が入ってたの?」

「見て見ろ。びっくりするぞ」

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