君にすべてを捧げよう
蓮がアゴで指し示した先を見れば、大きな段ボールが二つ、鎮座していた。
でっかく『廃棄』と書いてある。


「蓮……、あれってもしかして」

「いつものやつ。俺のマンション、狭くて置くところないからな」

「はあ!? うちの離れも溢れ返りそうなんだから、もう持ってこないでよ!」

「母屋にはまだ空き部屋あるだろ」

「やだ!! これ以上この家を18禁にしないでよ!!」

「めぐるは26だし、問題ないだろ」

「そんな問題じゃなくて!」


蓮が来るたびに持ってくる重たい段ボール箱。
その中身は、蓮の使わなくなった資料だ。

資料と言う名の、様々なアダルト製品。
いつか店でも開くの? というくらい多岐に亘るものが、無作為に詰め込まれているのだった。

こんなものを必要とするお仕事とは、それは。


官能小説家。


蓮は、『ひつまぶし れんた』というPNで活躍している、人気官能小説家なのだった。


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