君にすべてを捧げよう
「もーびっくりですよ。深夜の駐車場でネコ! ネコ待てえ! って追いかけてる人がいるなあって思ったら、杯根(はいね)さんで」
幾度もブラシを通した栗色の髪に、艶がでる。
ふわふわした癖毛を真っ直ぐに縮毛矯正した来瞳(くるみ)ちゃんの話に、あたしを除いた店内の人間全てが笑っていた。
「だ、だってそう見えたんだもん。仕方ないと思うの」
恥ずかしさの余り、ぶっきらぼうな口調になってしまう。
見間違えくらい、誰にだってあるはず。うん、多分。
「そうそう、仕方ないですよね。分かってますよう」
「もー。来瞳ちゃんったら、心にもない相槌打ってるでしょー」
ため息をついて、ドライヤーのスイッチをオフにした。
幾度もブラシを通した栗色の髪に、艶がでる。
ふわふわした癖毛を真っ直ぐに縮毛矯正した来瞳(くるみ)ちゃんの話に、あたしを除いた店内の人間全てが笑っていた。
「だ、だってそう見えたんだもん。仕方ないと思うの」
恥ずかしさの余り、ぶっきらぼうな口調になってしまう。
見間違えくらい、誰にだってあるはず。うん、多分。
「そうそう、仕方ないですよね。分かってますよう」
「もー。来瞳ちゃんったら、心にもない相槌打ってるでしょー」
ため息をついて、ドライヤーのスイッチをオフにした。