君にすべてを捧げよう
「作品?」


オーナーの目がわたしに向けられる。
うう、そういうこと素直に言わないでよ、蓮。


「ええーと、この人作家、なんです」


仕方なく言ったのだったが、すぐに失敗したと思った。
オーナーは、自他共に認めるほどのミーハー。
異常なまでの有名人・著名人好きなのだった。
地元のローカルTVにちょっぴり出ているだけのマイナー芸人であっても、見かけただけで大騒ぎする人なのだ。

案の定、食いついてしまった。


「ええ! すごい! めぐるちゃんにそんな親戚がいたなんて知らなかったよ!
あの、どんな作品を書かれてるんですか!?」

「あ、いやあの、オーナー……!!」


突っ込んで訊かないでぇぇぇ!!
それ以上訊いちゃだめぇぇぇ!!
蓮はごまかしてぇぇぇぇぇぇ!!

お願い、神サマ!


「けっこう売れたのは『深夜病棟☆愛液注入シリーズ』ですかね」


あたしの必死の願いは聞き入れてもらえなかったらしい。
蓮はあっさり答えてしまった……。


「し、深夜……?」

「はい」


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