君にすべてを捧げよう
「蓮はここ座ってて」

「ん」


ソファに座りこませ、布団を敷く。
お客さんを呼んだからか、いつも汚れている部屋がきれいに整頓されていた。
いつもこうだったらいいのに、と母親めいた小言を零すが、蓮の耳には入っていないようだった。


「よ、と。ほら、蓮。布団敷けたよ。こっちに来て」

「分かった……」


しかし、動く気配はない。
ここまで来て、ソファで寝られるのも嫌だ。
部屋の明かりを消す代わりに枕元の常夜灯のスイッチを入れ、寝支度を整える。


「もう。ほら、手、貸して」

「ん……」

「ちゃんと立ってよ? 支えられないんだからね」


よいしょ、と支えて立ち上がる。
どうにか足に力を入れた蓮だったが、ふいにその力を抜いた。油断していたあたしは、そのまま後ろ向きに倒れ込む。


「うあ……わあっ! ちょ、蓮、痛、い……」


布団の上だったので、衝撃は薄い。
しかし、気付けばあたしは、蓮の体の下にいた。

抱き合うように、蓮の体が乗っている。
真横には蓮の顔があって、首筋に寝息がかかっていた。


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