君にすべてを捧げよう
何気ない、蓮の言葉。
しかしそれは、1年以上前に消失してしまっていた、『いつもの』蓮の口調だった。
回復してきてる……。
嬉しさに、泣いた。
それから蓮は、食事も自分からとるようになり、みちがえるように元気になった。
捨てずに隠していたパソコンを見つけてきてからは、ぽつりぽつりと文章を打ち込むようになった。
様子を見に来た蓮の両親は喜び、何度も何度も礼を言われた。
そんなある日のことだった。
母は、ペナン島の父の様子を見に行くと言って渡航し、広い家にはあたしと蓮の二人きりだった。
茹で上がってしまうような、残暑の暴力的な暑さが少しだけ緩んだ、夕暮れ。
夕飯の支度をしていて、ふ、と空気が変わったのを感じて外を見れば、遠くに雨雲が見えた。
『夕立、かな。洗濯物入れなくちゃ』
物干し場は、離れの裏手にある。
ばたばたと取り込んで、何気なく離れの中を覗いた。
『あれ? 蓮、寝てる?』
見れば、パソコン用デスクに俯せて、蓮が眠っていた。
『エアコン効いてるのに、風邪ひいちゃう』
中に入り、温度調整をし、タオルケットを蓮に掛けた。
しかしそれは、1年以上前に消失してしまっていた、『いつもの』蓮の口調だった。
回復してきてる……。
嬉しさに、泣いた。
それから蓮は、食事も自分からとるようになり、みちがえるように元気になった。
捨てずに隠していたパソコンを見つけてきてからは、ぽつりぽつりと文章を打ち込むようになった。
様子を見に来た蓮の両親は喜び、何度も何度も礼を言われた。
そんなある日のことだった。
母は、ペナン島の父の様子を見に行くと言って渡航し、広い家にはあたしと蓮の二人きりだった。
茹で上がってしまうような、残暑の暴力的な暑さが少しだけ緩んだ、夕暮れ。
夕飯の支度をしていて、ふ、と空気が変わったのを感じて外を見れば、遠くに雨雲が見えた。
『夕立、かな。洗濯物入れなくちゃ』
物干し場は、離れの裏手にある。
ばたばたと取り込んで、何気なく離れの中を覗いた。
『あれ? 蓮、寝てる?』
見れば、パソコン用デスクに俯せて、蓮が眠っていた。
『エアコン効いてるのに、風邪ひいちゃう』
中に入り、温度調整をし、タオルケットを蓮に掛けた。