君からはもう逃げられないっ!!
「それ、じゃあ」とだけ、言い残して、去ろうとした時、
がしっと腕をつかまれた。
「なっ、何すんのよ!?」
「ふざけんな!! オレが告白してやってんだ。なのに、『ごめんなさい』だぁ? なめてんのか!?」
なに、その上から目線。
言いがかりもいいところだ。
そっちがふざけてる。
「離してよ。痛っ……」
「調子に乗りやがって!」
乗ってません!!
よりいっそう、掴んだ腕を強める男子生徒。
「これだから、お高くとまった女は……」
彼の妄想癖とも言える醜態にわたしは、こんな時でも冷静でいられる自分に、
つくづく可愛げのない女なのだと、自覚させられる。
こんな時、小説や漫画だったら王子様とか好きな男が現れるんだろうけど……。
あいにく、わたしにはそんな人いないってのが、悲しい現実なのよねー。
「観念するんだな。オレをコケにしやがって……」
じりじりとわたしに近寄る男子生徒にわたしは背筋がひんやりとした。
これはヤバい!!
わたしが腕を払おうとした時――。
「ちょっとどいて、そこの人!!」
え?