キュン甘SS†Lovesickness
恋の病
「ぇ、…?」
潤んで霞む目を凝らす。
ベッドに腰掛け、横たわる私の顔を覗き込む男。
「…城崎、くん?」
呼びかけた声は掠れた囁きになった。
「ずいぶん熱があるみたいですね」
私の額に触れ、少し顔を顰める。
「…どう、して…」
「無用心ですよ。スペアキーをポストに入れて置くなんて」
まぁそのおかげで勝手に入ってこれたんだけど---そう続けて城崎君は私のこめかみに貼りついた髪を梳いた。
「美山さんが仕事を休むなんてよっぽどのことだと思って…見に来てよかった」
…これは、夢なのかな?
私は精悍な顔をした三つ下の後輩の顔をボーっと見上げる。
「スポーツドリンク買ってきたんですけど、体起こせますか?」
そう聞かれたけど、体が砂に埋まったように重くて、首を小さく横に振るのがやっと。
「じゃあ俺が支えますから」
次の瞬間、首の下に城崎君の手が入ってきて、その腕に掬われるように抱き起こされた。
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