TIMES
ミーンミーンと鳴く五月蝿い蝉。
それよりも、友達の美紅が大きな声であたしに叫ぶ。
「ラブレターじゃん!!!」
周りに居たクラスメイト達が、一斉にこちらに視線を向ける。
美紅のバカ。
「ご、ごめん…」
あたしの冷たい睨みに気付いて、周りをキョロキョロして状況に気付き、謝った。
「差出人、誰なのよ?」
ゴホンと咳払いして、一度冷静になってから美紅はあたしに聞いてきた。
あたしにも…
「…分かんない」
確かに本人が手紙を差し出して来たはずだけど、その男の子に見覚えがない。
だから、名前さえ知らない。
もしかしたらイタズラじゃないか、なんて事も頭に過る。
美紅はあたしの答えを聞いて、『はぁ?』と図太い声を出していた。