瞬きさえも忘れていた。
ミステリアス
「それ出来たら、コピー13部よろしく」
自分のデスクでパソコンに向かっていると、右肩にポンと嫌な圧が掛かる。
課長に頼まれた資料作成に負われていて、まだ慣れないグラフ作成に苦戦している最中だった。それに追い討ちをかけて来たのは他でもない、頼んだ張本人の課長。
「は……い」
振り返って背後に立つ課長を見上げ、おずおずと返事をすれば、
「会議、15時からの予定が14時に変更になったから」
無情な言葉が容赦なく襲いかかって来た。
「え? そんな……」
思わず口から漏れ出た不満は、
「恨むなら急遽出張が決まった部長を恨め」
シレッと課長が口にした言葉で弾き返された。