瞬きさえも忘れていた。
曖昧さと純真と
花火の後、喫茶店に寄って2時間ぐらい他愛のない話をして過ごしただけで、岩本さんは何も言わずに私の自宅へと車を走らせた。
呆気なくデートは終了。
帯――
『俺が取ることになる』んじゃなかったんですか?
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ」
と、社交的な笑みで返してきた岩本さんに、私も負けじと自分の顔に笑顔を貼り付けた。
エッチがしたかった訳じゃない。でもがっかりしている自分がいるのも確か。
覚悟していたのに肩透かしを食らった、そんな気持ち。
男なら、一旦口にしたことは何があっても決行すべきでしょう?
男に二言があっちゃ駄目でしょう?
やっぱり私は、
今日も岩本さんに抱かれたかったのかな……。
自分でもよくわからない。