瞬きさえも忘れていた。
懲りもせずにぼうっと見惚れていると、彼が身を翻し階段を下りてきた。

カンカンカンと、安全靴が軽快な金属音を鳴らす。



彼は階段を下りた所にある操作パネルのボタンを押しながら、視線は機械に向けたまま「何?」と言った。



私への問いだとすぐに気付き、どうしようもなく焦る。



「『現場来てみたら?』って言われたから……来てみました」


つい、バカみたいな言葉が口を衝いて出てしまう。



ゆっくりと彼の顔がこちらを向く。そして、意味が解らないとでも言いたげに小首を傾げて私を見た。



被っているヘルメットが、浅黒くてどこかエキゾチックな彼の顔に影を作り、それが何故だかとんでもなく色気があって妖艶で、心臓がドクンと跳ねた。


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