瞬きさえも忘れていた。
彼女は病んでいるんじゃないかって、本気で疑った。
「そんなことしてません、絶対に。陰でコソコソ会うなんて嫌ですから。
別れる気がなかったら、あの時、身を引いたりしなかった。あなたに『お腹の赤ちゃんを堕ろして』って言いました」
「ひっど。本性出たね」
「酷いでしょ? だからそんなこと言わなかったし、言えなかった。岩本さんを諦めるしかなかった」
「嘘!」
「嘘なんかつかない!」
語気を強めて言い切った。
絶対に引かない。岩本さんの汚名を晴らすためにも、一歩だって譲らない。
「だったらどうして……。もう一ヶ月以上経つのに、一度も……」
弱々しく、独り言のように呟いた彼女は、その小さな身体を両腕で抱きしめて縮こまる。
「お腹に赤ちゃんがいるからじゃないですか?」
それはふと、頭に浮かんだ可能性。
陽奈乃さんは、どうしてだか驚いたように目を見張って、まじまじと私の目を凝視した。
「そんなことしてません、絶対に。陰でコソコソ会うなんて嫌ですから。
別れる気がなかったら、あの時、身を引いたりしなかった。あなたに『お腹の赤ちゃんを堕ろして』って言いました」
「ひっど。本性出たね」
「酷いでしょ? だからそんなこと言わなかったし、言えなかった。岩本さんを諦めるしかなかった」
「嘘!」
「嘘なんかつかない!」
語気を強めて言い切った。
絶対に引かない。岩本さんの汚名を晴らすためにも、一歩だって譲らない。
「だったらどうして……。もう一ヶ月以上経つのに、一度も……」
弱々しく、独り言のように呟いた彼女は、その小さな身体を両腕で抱きしめて縮こまる。
「お腹に赤ちゃんがいるからじゃないですか?」
それはふと、頭に浮かんだ可能性。
陽奈乃さんは、どうしてだか驚いたように目を見張って、まじまじと私の目を凝視した。