瞬きさえも忘れていた。
どんなに冷淡な言葉を選んだって、岩本さんの意に反して優しさが滲み出る。


可哀想な人。

可哀想なぐらいに優しい人。



そのせいで自分だけ傷付いて、自分だけ苦しんで。



「叶わない恋だからって諦めるより、思う存分愛せる方が幸せです。

心配しなくても、気が済むまで愛し続けたら、その時は岩本さんのことなんか、きっとどうでも良くなりますから」


だから大丈夫、と続けて、全力で笑って見せた。



岩本さんは、『いつも凛としてて、どんな時でも笑顔』の私を綺麗だと言ってくれた。



だったら――


いつも凛としていようと思う。

どんな時も笑顔でいようと思う。



今こうして、自分の想いの全てを伝えられたから。

嘘偽りのない誠を伝えられたから。



だからこれからも、岩本さんが綺麗だと言ってくれた私でいられると思う。


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