瞬きさえも忘れていた。
慰安旅行
初めての慰安旅行は沖縄だった。
毎月、旅行積立金が給料から天引されていて、全額会社負担ではないけど。
それでも少額で済むから、行かなきゃ損な気がして。
断るのも気が引けるし、余り気乗りはしないけど参加した。
もう10月の半ばだと言うのに、沖縄は未だ夏の気候。
半袖持参で来て正解だった。長袖では暑くて汗ばんでしまう。
空の色が違うことに驚いた。私たちがいつも見ている空と本当に繋がっているのかと疑うほど。
濁りのない濃いスカイブルーがすごく綺麗で、視界に入る全てが色鮮やかに映る。
そのせいか、空気も澄んでいて美味しい気がした。
首里城や水族館、琉球村などを訪れ、その全てが私にとっては真新しくて新鮮で。
異国情緒漂う沖縄を、思う存分満喫していた。
来て良かった、と。心から思った。
吉田さんは友達の結婚式と日にちが被ってしまい参加できなかった。
「ついてないなぁ」なんて愚痴をこぼしてはいたけど、さほど残念そうでもなく。
土産よろしく、と。私や樽井さんに、いつもの朗らかな笑顔でおねだり。