瞬きさえも忘れていた。


「岩本さんて、いつもあんな感じですか?」


清涼感に惹かれて選んだサラダうどんを箸で摘んで、すごく気になっていることを聞いてみた。



吉田さんはカレーを頬張りながら、「あんなってどんな?」と聞き返す。


このクソ暑いのにカレー。ガッツリだなぁ。



「何ていうか……素っ気ないって言うか、無愛想って言うか」


「ああ……。元々愛想はなかったけど、今は特に酷い。高校の時から付き合ってた彼女と先月別れたばっかだからかな。多分それ、引き摺ってんだろうね」


「ふられたんですか?」


「なに、梨乃ちゃん、興味あるの?」


冷やかしの目を向けながら、吉田さんはからかうように言う。


はい、と答えたら、樽井さんと二人、目を真ん丸にして私を見た。



そんなに驚かなくても……。


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