瞬きさえも忘れていた。

「彼女の両親に反対されたんだって。詳しくは知らないけど、彼女の父親がどっかの市長だとか誰かが言ってたような……。

別れた直後の岩本くんの荒れようは凄まじかった。それから比べたら、今は随分落ち着いた方だと思うんだけど」


岩本さんの悲恋について、つらつらと語る吉田さんは、同情しているような寂しげな面持ちだった。


けれど、突然に悪戯っぽくニッと微笑んで、

「それでも感じ悪いのは相変わらずだけどね。ま、とにかく、岩本くん、今フリーだから、梨乃ちゃん頑張れ」

だなんて、無責任なエールを私に投げる。



「頑張るも何も……あの感じ、全然相手にされてませんから。無駄ですよ」

本音を口にして苦笑した。



「そうかな？　私は梨乃ちゃんならイケると思うんだけど」

吉田さんからまた、無責任なエール。


こんなのムチャブリだ。



「はい……」

色々不満はあれど、もう流すことにした。