瞬きさえも忘れていた。
ああ――

早く寿退社したい……。



入社して半年もしないうちから、そんなことばかり考えていた。相手も居ないのに。




会議が14時からになったってことは、お昼休みを返上してやらないと間に合わない。


皆が食堂へと出払った誰も居ないオフィスで、唯一人、黙々とキーボードを叩いた。



エアコンもびっくりするぐらいレトロな代物で、温度調節が巧くいかず効きすぎて寒い。


誰も居なくなったからか、余計に室温が下がった気がして、椅子に掛けておいた紺色のカーディガンを羽織った。




皆が事務所に戻って来た午後一時。ようやく仕上がった資料を言われた通り13部コピーに掛ける。


ソートという便利な機能があるから、原紙を差し込むだけで、後は特に何もしなくていいのだけど、このコピー機もポンコツだから、ずっと見張ってなきゃならない。


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