瞬きさえも忘れていた。
大量にコピーしたり、例えばこのソート機能みたいに、ちょっと複雑な仕事をさせたりすると、必ず一回はどこかで紙が詰まってしまう。


そうなると、あちこちを開けての詰まった部分大捜索を強いられて、とんでもなく厄介だ。



どうか平和なまま無事終了しますように。


コピー機の真ん前に突っ立って、祈る気持ちで見守っていた。




――と。

現場の人たちが着ている薄茶色の作業着が、視界の左端に映り込んだ。

何となくそちらに視線をやれば、10号機から12号機担当の男の人が、B4サイズの紙一枚を手にして立っていた。



紙を手にしているし、こちらの様子を窺っているから、きっとコピー機を使いたいんだと確信した私は、迷わず『割り込み』ボタンを押してコピーを中断した。


< 5 / 255 >

この作品をシェア

pagetop