『太陽と空の下で・・・』
『いいよ・・・生んであげる・・・でも 女の子が野球?』


そんなたわいもない会話が幸せな毎日だった。


そして月日が経ち 若葉に陣痛がきた。


『太陽・・・痛い・・・』


『ワカ・・・頑張れっ』


俺は立ち会い出産を希望し


若葉の手をしっかり握りしめた。


若葉の苦しんでる姿が痛々しく目をそむけた。


分娩室に聞いた事のない若葉のイキム声と


助産婦さんの『ほら・・・お母さん 頑張って・・・赤ちゃん 見えてるよ・・・』


その声だけが響いていた。


俺は何も出来ない自分が惨めで今にも泣きそうになった瞬間


赤ちゃんの泣き声が聞こえた。


涙がとめどなく溢れた。


苦しんでた若葉がニッコリ微笑んでいた。


『ワカ・・・ありがとう・・・頑張ったな』


『おめでとうございます。女のお子さんですよ』


『空・・・』


俺は名前を呼んだ。


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