【短編】紙ヒコーキ
「中野〜!これを数学資料室に運んどいてくれ!!」
あたしは最近、先生に物を頼まれることが増えた。
今回も先生は有無を言わさず、あたしに資料を運べと言って教室から出ていってしまった。
『はぁ〜…愛、あたしちょっと運んでくるね。』
「いってらっしゃーい♪」
休み時間で、あたしの席に来ていた愛にそう言って、資料を持って資料室に向かった。
カチャ
「…失礼しまーす。」
誰もいないしっ!
ここら辺に置いとけばいいのかな?
机の上に資料を置いて、資料室を出ようとした時――…
カタッ
「――――…っ!」
誰かいるの?
資料室の奥にある部屋から物音と、人の声がした。
資料室の奥にある準備室なんて、普段先生すらほとんど立ち入らない。
ほぼ物置小屋状態。
そんな部屋から物音と、人の話し声―――…
気になってドアを開けてみることにした。
カチャ……
「……北村…先輩?」
*