【短編】紙ヒコーキ
結局先輩は、昨日あたしを追ってきた理由を教えてくれないまま…あたし達は学校に着いた。
「じゃ、またな懍っ!」
『…はい。』
昇降口で階が違うあたし達は別れた。
「しゅーんっ♪おはよっ♪」
「おはよー♪」
別れた直後、先輩を呼ぶ声と、それに返事をする先輩の声が聞こえた。
振り返って見ると…
北村先輩と、すっごい可愛い背の小さな女の子。
北村先輩はその女の子と楽しそうに話している。
すごく優しい目をして、今までに見たことないくらいの満面の笑み……
北村先輩の様子を見てあたしは、その女の子が先輩の好きな人なんだと確信した。
あたしは先輩が見えなくなるまで、ずっとその光景を眺めていた。
可愛らしい女の子と会話する北村先輩は、たまに顔を赤らめて、少し照れたり焦ったり……
恋する男の子に見えた。
もう……ダメ…かな……
向き直って自分の教室に向かう。
一生懸命、涙を堪えながら………
*