【短編】紙ヒコーキ
窓から1つずつ飛ばした。
色んな方向に飛ばした。
でも途中で曲がったりして、結局ほとんど同じ方向に飛んでいった。
飛んでいく紙ヒコーキを見る目からは、とめどなく涙が溢れ続ける。
好きだよ先輩…
大好きだよ
これからもずっと
大好きだよ
先輩がいなかったら
中学も高校もこんなに楽しめなかった
先輩を遠くから眺めることが、あたしの学校での楽しみになってたの……
先輩と話すまで…ただ眺めているだけでよかった。
でも先輩と話して、名前を呼ばれて……見てるだけじゃ分からなかった先輩の中身を知って、どんどん好きになってく。
あたし欲張りかな…
ねぇ、北村先輩……
また「懍」って呼んでくれる?
ニコッて笑って
あたしの名前呼んでくれる?
「りーーーんっ!!!!!!」
窓の外から名前を呼ばれた。
『…え?北村…先輩?』
*