【短編】紙ヒコーキ
「よかった〜〜…」
ふうっと軽くため息をついて、北村先輩は床に座りこんだ。
『先輩…なんで??』
「帰ろうとしたらさ…頭に飛んできた紙ヒコーキ当たって…」
それだけで?
あたしって分かったの?
先輩の話にはまだ続きがあった。
「この紙ヒコーキの折り方…俺が考えたやつでさ、この折り方知ってるの……俺以外は懍だけだから」
『うそ……』
先輩が手招きしてあたしを呼んだ。
あたしは初めて話した日の、屋上の時のように先輩の前に座った。
「理由…教えてあげる。」
『…??』
「追っかけた理由だよっ!」
『ああ!』
先輩の顔が少しだけ赤くなったように見えた。
「……誤解…してほしくなかったんだよ、懍には。」
そう言って先輩は天井を眺めている。
「ずっと好きだったのは…お前だけじゃないからな?」
*