【短編】紙ヒコーキ
「りんってさ〜俺と同じ中学だよな?」
『えっ!?何で知ってるんですか??!』
初めて話したのに、出身校を知られていて少し驚いた。
「いや、体育祭で見た気がする。お前ケガしなかった?」
覚えててくれた……
先輩があたしのこと覚えててくれた。
中学2年の体育祭――…
あたしはリレーのアンカーをやった。
ゴールした瞬間に自分の足に引っ掛かり転んでしまって、テントの下の救護所に行ったの…。
そこにいたのが北村先輩。
無理矢理押しつけられたらしい保健委員で、あたしのケガの手当てをしてくれた。
その時の先輩が優しくて…
あたしは一瞬で恋に落ちてしまった。
『ケガ…しました。よく覚えてますね♪』
「俺、記憶力いいから♪」
嬉しいことが1日でこんなに何回も起こるなんて……信じられない。
*