星の輝く夜空の下で


ー回想ー


「夏芽、あのね」


春実は言った


「こないだ星夜くんが家に来たの。もうすぐ消えるかもしれないって。もし、夏芽に会う前に消えてしまったら伝えて欲しいことがあるって言われたの」

「…え、なに?」

「夏芽に出会えて良かった。もし消えて夏芽のことを忘れてしまっても今までのあった時間は夏芽の中で消えずに残してて欲しい。俺は夏芽を愛してた。って」


夏芽は恥ずかしくなった


「なにそれ」

「伝言」

「だっせぇ。愛の言葉とか言ってくれたら良かったのに」

「伝言って『大切な人に伝えたい言葉』を略したモノ。ってあたしは思ってるけど?」


唖然とした

そして笑った


「はるはすごいな。今、すごくかっこいいって思った」

「でしょ?」


春実はふぁーと息をした


「でもいいなぁー、夏芽。愛してるって言ってもらえて」

「でも、直接言われてないし」

「とかいって嬉しいくせに」

「別に嬉しくないよ」

「またまたぁー。あたしも誰かに俺はお前を愛してる。なんて言われたーい」

「だから言われてないっつーの!」



夏芽は人間不信に戻ることはなかった


春実がいてくれたことと
星夜が大切な言葉をちゃんと残してくれたから


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